木元省美堂の社員が様々な話題をお届けします!
2019年12月12日
冬至が近づき、夜が長くなりましたね。
皆様こんにちは。制作部のことことです
寒さが増し「熊蟄穴(くまあなにこもる)」この時期、暖かい部屋での読書の時間がとても幸せに感じます。
クリスマス前になると、陰惨な描写が少なく、どこかほのぼのした内容が多いコージー・ミステリーと称される推理小説をよく読みます。
私がおススメするのは米作家シャーロット・マクラウドの<シャンディ教授シリーズ>です。
地方都市にある農業大学が舞台で、シリーズ一作目がクリスマスイルミネーションを扱っており、季節的にもピッタリなんですよ。
手持ちの本の奥付を見たら1992年!
25年以上前に購入したものでした(表紙がボロい…)。
さて、気に入ると全巻を通して読みたくなる性格の私。このシリーズも当然のように順を追って読み進めていきました。そしてある一冊を読んだ時、ふと違和感を感じたのです。
登場人物の話し方、モノの描写が変化したような…さらに言えば「似ているけれど違う話」を読んだ気分になりました。
『同じ作者の同じシリーズなのに…』と不思議に思い確認してみると……翻訳者が違っていました。このシリーズ、途中の数冊が違う出版社から刊行されており、翻訳者も異なっていたのです。
勿論、一方がより優れているという事ではありません。ただ翻訳者が違うだけで、ここまで文章の味わいが変わるものかと、当時大学生だった私は驚いたものです。
例えて言うなら、牛肉という素材を料理して一方はスキヤキ、もう一方はビーフシチューになったという感じでしょうか(……か?)
原著を読みこなす能力のない私は、海外作品(どんなジャンルでも)を読むには翻訳物を手に取るしかありません(いや、頑張って原著を読めばいいんですがね)。失礼な言い方かもしれませんが翻訳者は私の読書におけるとても重要なツールなのです。
翻訳された文章を読み、原著者が描いた世界(風景、登場人物の性格や会話、食べ物など)を自分の頭の中でどれだけ鮮やかに思い浮かべることが出来るか…それが私にとって名訳かどうかの基準になります。
日本には、優れた日本語翻訳作品に贈る「日本翻訳大賞」という賞もあります。この賞はクラウドファンディングや寄付で運営されており、公共機関や企業からの資金援助は受けていません。選考基準も、一次は「100字程度の推薦文が必須の読者推薦」なんです! すごくないですか?
「日本翻訳大賞」は新訳作品が選考の対象なんですが、多くの人が推薦する未読の翻訳本…読書欲がそそられます。
このような現代の著作は勿論、過去の海外作品が今でも読み継がれているのには、名訳をされた翻訳者の方々の存在が大きいのでしょうね。
皆さんも海外作品を手に取る際は、是非著者だけでなく翻訳者にも注目してみて下さい。
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