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きもと社員Blog

木元省美堂の社員が様々な話題をお届けします!

タンペレのムーミン美術館

2024年08月09日

こんにちは、 社長の木元(哲)です。

6月にフィンランドを旅してきました。
フィンランドというと森と湖の大自然に囲まれた国というイメージがありますが、
今回の旅行は首都ヘルシンキとタンペレの街を散策して過ごしました。
大自然に触れてみたい、オーロラを見たいという場合は列車で郊外に
足を延ばす必要があるようです。

ヘルシンキは堂々たる風格のある建物が連なり、まさに首都という風情でしたが、
タンペレはのんびりとした地方都市といった印象でした。
タンペレの中心部はトラムを使えば1日で歩いて回れるほどこじんまりまとまっています。
中心部を流れるタンメルコスキ川沿いには歴史的な赤レンガの工場の建物や
レストラン・カフェが並び、夜遅くまで多くの人で賑わっていました。
夜10時を過ぎても昼間のように明るい「白夜」を初めて体験しましたが、
これだけ昼が長いと一日の過ごし方もだいぶ変わるのだろうと思いました。
オールドマーケットでは、サーモンやミートボールなどの伝統的なスカンジナビア料理
や世界一美味しいとされるドーナツもリーゾナブルな価格で楽しむ事が出来ました。

この街を訪れた人が必ず訪れるのが「ムーミン美術館」です。
ムーミンは私が子供の頃、テレビアニメを毎週やっていましたので、
日本ではとても馴染のあるキャラクターなのですが、ある時、
ムーミンがフィンランド発祥ということを聞いて驚いたことを覚えています。
タンペレホールの中にあるムーミン美術館に入ると、日本人の
ガイドの方が日本語で丁寧に案内して下さいました。
日本人が多く訪れるとのことでした。

トーベ・ヤンソンが一本一本緻密に描き込んだ挿絵や、
トーベのパートナーであったトゥーリッキ・ピエティラが制作した
ムーミンの物語や登場人物の立体模型などの数々の作品は、
各々のキャラクターに生命が吹き込まれているかのような
躍動感を感じさせるものでした。

また、この美術館では、原作者のトーベ・ヤンソンの生涯とムーミン以外の作品も
紹介されていました。
トーベ・ヤンソンは、フィンランドで彫刻家の父と画家の母のもとに生まれ、
幼い頃から芸術に親しんで育ちました。
夏になると多島海域などの自然豊かな郊外で数週間過ごし、
その夏の日の幸せな記憶は、ムーミンの物語に色濃く反映されているとのことでした。

画家であり、小説家でもあったトーベは、ムーミンの物語を描く前は
風刺画家としても有名だったそうです。
第二次世界大戦が始まると、戦争に強く反対していたトーベは、
政治風刺雑誌『GARM(ガルム)』に、ヒトラーやスターリンなどの独裁者たちを
痛烈に笑いのめす風刺画を実名で描くようになり、度々物議をかもしていたそうです。
そういった風刺画も展示されていて、ムーミンの世界観との対比も際立ち、
より興味深く見ることが出来ました。

まだトーベが生きていたら、あの国のあの独裁者の風刺画を描いていただろう、
と想像して、自然と笑みがこぼれました。

トーベが描いた最初のムーミンの物語『小さなトロールと大きな洪水』には、
戦争で家を失ったものたちと、壊滅の危機が描かれています。
トーベがいかに戦争の影響を受けていたかを表しています。
しかし、物語はハッピーエンドを迎えます。

トーベは、日記に、第二次世界大戦の重苦しく恐ろしい現実とは異なる、
幸せな社会―別の世界―を作ることを夢見ていたと書いていたそうです。
ムーミンの世界は、その夢を実現したものと言えるのかもしれません。

因みに、このブログ記事を掲載した本日、89日はトーベ・ヤンソンの誕生日で
「ムーミンの日」と定められています。 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

トーベ・ヤンソン

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