木元省美堂の社員が様々な話題をお届けします!
2023年02月03日
みなさま、ご機嫌いかがですか?
制作部のことことです
その方を取り上げた番組を視聴した時、最初に感じたのは賞賛と尊敬の気持ちでした。
プロフェッショナル 仕事の流儀 縁の下の幸福論 校正者・大西寿男(1月13日放送)
「並いる作家や編集者から絶大な信頼を受け、話題作を支えてきた」(番組のHP)そうで、仕事に取り組む姿勢・謙虚な人柄に感動を覚え、気付けばその方の発言をメモし続けていました。
しかし数日間、書き留めたメモを読み返していくうちに、心の中にモヤッとしたものが湧き上がるように…
言葉が本になって出版されるまでには、その言葉を「校正・校閲し編集」する必要があります。簡単に言うと
・校正…誤っている表記を発見・正す
・校閲…誤っている内容を発見・正す
・編集…よりよい原稿ができるようにサポートする
我々印刷会社の制作部にとって、校正は作業上切り離す事ができない工程です。
自分が校正に携わった時には、読んで間違いを発見するものではなく、一字一字検査していく作業だと教わりました。
大西氏は「校正者」として紹介されながらも、実際は「校正・校閲・編集」の3つの工程を全て行っていました。番組内で「一文字0.5円で計算される」と仰っていましたが、作業内容はその値段を軽く超えていると思います。
もともと校正は一般的に評価されにくい作業で、ものを創り出すクリエイティブな仕事でないため、才能は不必要で下請けと誤解されがちです。間違いを指摘して当たり前とされ、気付けなければ校正者の評価が下がります。
特に最近は効率一辺倒の風潮もあり、校正料の削減や締め切りの短縮など、作業者の置かれた環境は悪化しています。
大西氏も過去に心を病んでしまい、校正から離れた時期もあったとか。
それでも逆風を乗り越え、校正という仕事に戻ってきたのは、「言葉が泣いている」状況を憂いたからで、無理な受注を断り生活を切り詰めても「言葉のケアをする」事を選んだと…本当に言葉を大切にしている方なのだなと、まさしく『言葉の守り手』なのだなと思いました。
一方で、大西氏の真摯に原稿に向き合っている姿を見ると、本来は著者や編集者が行うべき作業を、『言葉の守り手』というキレイな言葉で押し付けているのではないか…という気持ちが拭えませんでした。
それとは別に自分が危惧したのが、誰もが自分の言葉を発信することができるネット社会の現状です。
大西氏のような守り手のいる出版業界とは異なり、そこで用いられる言葉は、良くも悪くも剥き出しのまま世に放たれているのではないでしょうか。
言葉は多面性を持った生き物で、それを用いる側の質により如何様にも姿を変えていく存在だと思っています。同一の言葉でも、人を傷つけたり癒しもします。
この番組を見て、自分の言葉を不特定多数に発信する(このブログも含め)という行為の重さに、今更ながら萎縮してしまいました。
言葉を大切に扱わなければ…
お読みいただき、ありがとうございました。
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