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2020年01月23日
大寒を過ぎ、一年で一番寒いとされているこの時期、皆様いかがお過ごしでしょうか。
こんにちは。制作部のことことです。
今年は各地で雪不足が報じられています。
豪雪地帯とされる地域でも、例年に比べ格段に降雪量が少ないそうです。
過ぎたる雪は確かに困りものですが、近年では『利雪』といって積極的に生活に利用されているとか。
実際に、雪の貯蔵庫(雪室)で保管した野菜や酒などはブランド化され、高評価を得ています。そのような産物は雪不足の今、どうなってしまうのでしょうか。
さて、雪の研究者として「雪の結晶は、天から送られた手紙である」と記した理学博士の中谷宇吉郎が有名ですが、氏が著書の中で、自分の先達として意外な人物を挙げているのをご存知でしょうか。
その人物とは…江戸時代後期の古河藩主・土井利位(どいとしつら)です。
彼は『大塩平八郎の乱』を鎮圧、幕府の老中首座にもなるなど、幕閣としてそれなりに活躍した人物です。
中谷氏は著書『雪』で、土井利位が1832年に『雪華図説』という本を刊行したこと・その内容などを約5ページに亘って記述しており(岩波文庫『雪』p.48-53 2018年 第23刷)、『自然の最も優れたる観察者として、科学的精神の具顕者としてその名を遺した』と絶賛しています。
中谷氏が自分と同じ『雪の研究者』として土井利位に興味を持った一方、『雪華図説』を手にした江戸時代の庶民は、そこに描かれていた雪の結晶の形の美しさに惹かれたようです。
その文様は『雪華文』、または土井利位の官職(大炊頭 おおいのかみ)にちなみ『大炊文』と称され、着物や茶碗の柄に用いられたとか。
現在でも雪華文は涼を呼ぶものとされ、夏の着物や浴衣・器の意匠に使われています。
また雪は空からの豊作をもたらす便りとされ、模様には五穀豊穣・富貴繁栄の願いも託されるそうですよ。
皆さんは『雪』というと、どのような事を思い浮かべるでしょう。私は見慣れた景色がまるで水墨画のように感じられ、嫌いではありません。
ところで雪といえば、太宰治が『津軽』の中で、津軽には7つの種類の雪が降ると書いています。確か演歌の歌詞にもあったような…(吉幾三? いや新沼謙治か?)
青森県にゆかりのある方、本当に七種類もの雪があるのか、ぜひ教えて下さい。
前述した中谷宇吉郎著『雪』です。
カバーの模様は土井利位『雪華図説』に収載されているものを使用しているとか。
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