木元省美堂の社員が様々な話題をお届けします!
2019年05月24日
制作部のことことです。
初夏の薫風が暑さで溶かされてしまったような陽気の日本列島ですが、皆さま如何お過ごしでしょうか。
今回は半分自分の趣味ネタで…
印刷会社ではCMYKのプロセスインキ以外に「特色」といって独自の色を使って印刷する事があります。
その時は、特色カラーガイドというインキ会社が発刊している色見本から指示をされる事が多いです。
当社も多種多様なインキ会社のカラーガイドを常備していますが、中でも私のお気に入りは、DIC株式会社から出ている「伝統色(日本・中国,フランス)シリーズ」です。
それぞれの国独特の色名や色合いがあり、見ていて飽きません。
日本の伝統色のガイドを見ると、植物から取られた名前が多いように感じます。そう言えばユキさんが先日教えてくれた『令和 慶祝カラー』も植物(梅・菫・桜)でしたね。
日本の色彩が発達したのは平安時代中頃だそうです。いわゆる国風文化が盛んになった頃でしょうか。源氏物語や枕草子などの文学作品にも数々の色彩名が出てきます。
特に十二単をはじめとする衣裳の色名の多さには、目を見張るものがあります。
当時の衣裳は「重ね」という表裏の布を重ね合わせた色(表の布が裏の布の色を透かす)により表現されました。
実際は使われる布の素材・織り方・紋様などでさらに色の幅は広がったでしょうから、それこそ無限大だったろうと思います。
ちなみに「重ね」で令和カラーを表すと
梅 表…白/裏…蘇芳 菫 表…紫/裏…淡紫 桜 表…白/裏…赤花
といった感じでしょうか。
花や草木そのままの色ではなく、透かして表現するという1000年前の繊細な美意識に驚かされます。しかも季節毎に何十通りもあったそうです(参考文献:伊原 昭『平安朝の文学と色彩』中央公論社、昭和57年)。
今年は大嘗祭が行なわれます。その際には今上陛下が皇后様・宮内庁職員と共に、古来の装束をお召しになられて儀式に臨まれる事と思います(平成の大嘗祭の時の上皇・上皇后様もそうでした)。
学生の頃に平安時代を専攻していた私にとって、当時に近い装束が見られるという事で、実は今からワクワクしているのです。
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