木元省美堂の社員が様々な話題をお届けします!
2019年02月22日
今日のきもとblogを担当するおけらです。
真面目なことから遊びネタまでゆるく発信して行くので、お気楽な気持ちでどうぞよろしくお願い致します。
今日は固い話にしようかな〜では…
僕がこの印刷業界に携わって24年になりました。
携わった最初の10年で印刷業界を取り巻く環境は劇的に変化を遂げました。
入社当初(当時は別の会社に所属)、印刷紙面のレイアウトを起こす「版下(はんした)」と名称されていた、製版素材を制作する部署からスタートしました。
自身、製図を学んでいたこともあり、入社後直ぐに「自動作図機」という機器の担当になりました。
当時は全て手作業でしたが、その「自動作図機」は専用PCにて作図入力したレイアウト設計を自動で画用紙にペン描画して行くという、非常に画期的な最先端機器でした。
デザイナーさんより「ラフ原稿」と言われる直筆のレイアウト原稿を受領し、写真や文字を配置する箇所を「自動作図機」にてレイアウト紙面を描画し、「版下」を制作する人に渡します。
版下制作する人は「写植(しゃしょく)」と言われる印画紙に印字された文字を、自動作図機で描画した配置箇所へ糊を使って手作業で貼り込むのです。
当時の情報発信方法は、新聞折込みの宣伝チラシなど紙媒体が主流で、「輪転機」と言われる高速印刷機で大量に刷っていました。
必然的に印刷物の件数は多く、某有名デパートのチラシや、アニュアルレポートとなると「写植」を貼り込む数も膨大なものでした。
この文面では「自動作図機」のどこが画期的なの?と思われますよね。
「自動作図機」が無かった頃は…なんと!レイアウト紙面を手書きで起こしていたのです!
レイアウト紙面を自動化になった事だけでも当時は驚き、何十件と引っ切りなしに受注していた紙面制作の手作業から解放され、大幅な時間短縮が実現して、コスト削減や効率性のアップにより、生産性は飛躍的に向上しました。
「写植」を貼り込む作業は依然手作業のままでしたが、作業者にとって貼り込む作業のみに集中できることで、心理的負担の軽減に繋がりました。
しかし…!不思議なもので、利便性が達成されると別の部分で弊害が起きます。
自動化が達成されたのは良いのですが、会社には「自動作図機」が1機しかなく、素材の供給が遅れてしまうと全行程が止まってしまうのです。
かといって当時の機器はとても高価なもので、投資するのはなかなか厳しいものでした。
若かった僕は自分の事で精一杯で、ひたすら描画素材を「版下」へ回す事で日々を過ごしていました。
自分の不手際や非効率な進行で、遅延の影響を全行程に及ぼしてしまうのではないか…。恐怖で仕方なかった記憶を今でも覚えています。
「もう1機買えば良いのに!」と会社事情も分かりもしない僕は不満たらたらでした(笑)
現在はDTPが飛躍的に発達して、お話しした工程はとうの昔に無くなり、制作コストも全行程含めると当時と比べて格段に安くモノが作れる様になりました。僕自身も色々な知識・技術を学び、当時のアナログ技法や知識を活かして今でも業界に身を置いています。
そんな中、当時も今も厳しい事があります。
「納期」です!
中間工程の自動化や全体的な効率化が見込めると、必然的に「納期」も大幅に短縮していきます。
厳しいなぁ〜と思いつつも、いつの時代も「追われる気持ち」に支配されず、心の余裕を作っていかねばと思う次第です。
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