木元省美堂の社員が様々な話題をお届けします!
2019年02月19日
代表取締役社長の木元哲也です。本日2月19日は当社の創業65周年記念日です。この日に木元省美堂のブログを再始動できることをとても喜ばしく思います。それでは記念すべきリニューアル第一号のblog記事を掲載させて頂きます。
私は4年ほど前に家電業界から印刷業界に移り木元省美堂の経営に携わるようになったのですが、この業界に入ったときに最初に違和感を持ったのが「印刷人」という言葉でした。同じモノ作りの業界である家電業界には、「家電人」という言葉はありません(最近は「家電芸人」という言葉は流行っているようですが・・・)。
何故「印刷人」という言葉が普通に使われているのかと探ってみると、どうやら「出版人」という言葉から来たのではないかと思い至りました。何か文化を創り上げていく業界の人に付けられる称号のようなものなのではないかと。確かに「映画人」「芸能人」という言葉もあります。それでも、モノ作りの業界なのに「印刷人」という言葉が使われることにずっと違和感を持ち続けてきました。
そのとき、私が出会ったのが「紙つなげ!彼らが本の紙を造っている」という本でした。東京都印刷工業組合の主催したセミナーで著者の佐々涼子さんの講演を伺う機会があり、この本のことを知りました。2011年3月11日、大震災による津波が日本製紙の石巻工場を呑み込み、工場は壊滅的な被害を受けました。もう再生は困難だと思われたその時、工場長が「この工場が止まる時は、この国の出版が倒れる時だ。この工場を半年で復興する。」と宣言。最初は「そんなの無謀だ。いいかげんにしろ。」と言っていた従業員が、工場のため、地元の復興のため、何よりも本を待つ読者のため、無謀と思われたそのチャレンジを成し遂げようと必死で闘う様を描いた渾身のノンフィクションです。製紙工場の従業員の皆様の「紙をつなぎたい」という熱い思いと、それを多くの出版社が全力で応援したという話を聞いてとても感動し、同時に自分の認識の浅さを恥じました。
本という作品を読者に届けるまでには、様々な人が関わってバトンのように思いをつないでいる、その重要な仕事に私たちは関わっているのだと改めて深く感じました。その時初めて「印刷人」という言葉がすっと私の心の中に入ってきたのです。これからも出版文化を支える「印刷人」でありたいと、私が心から思えるようになった瞬間でした。
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