きもと社員Blog

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理想と現実

2020年08月28日

8月になった途端に灼熱地獄に陥った関東地方ですが、最近は朝晩に多少の涼しさを感じるようになりました。
季節は確実に移っていくのですね。

ご機嫌いかがですか? 制作部のことことです。

皆さまは世界で一番美しい本と讃えられる『ベリー公(候)の豪華時祷書(じとうしょ)』をご存知でしょうか。
私がその存在を知ったのは、緊急事態宣言下の5月3日に『日曜美術館』(Eテレ)を視聴した時でした。

番組案内によると…『“世界で一番美しい本”と讃えられる「ベリー公のいとも豪華なる時祷書」。中世フランスの貴族や庶民の暮らしを伝える細密きわまりない描写。金と宝石による鮮やかな彩色。当時の一流絵師たちが80年かけて描きついだ貴重本は、パリ郊外シャンティイ城の宝物庫に秘蔵され専門家さえ見ることが許されない。NHKが8K撮影を許された貴重な映像を再構成。現代フランスの映像も合わせ、日々の喜びを伝えるスローライフを堪能する。』とあります。

画面を通して見た絵の美しさは、8Kでも4Kでもない我が家のテレビでさえ、溜息が出るほどでした。金やラピスラズリなどの豪華な顔料を使って描かれた中世フランスの貴族や庶民の暮らしは、とても600年前のものとは思えないほど色鮮やかで繊細で緻密で……。

しばらく感嘆しつつ見ていたものの、ふと「中世ってこんな牧歌的な時代だったっけ?」と疑問が…。

中世ヨーロッパといえば百年戦争やペストの流行など、マイナスなイメージが強い時代でもあります(意見には個人差があります)。貴族はともかく、庶民がここに描かれた生活を送ることは難しかったのではないでしょうか。

時祷書とは、本来はキリスト教徒としての信仰・礼拝の手引きとして編集されたものなのだそうです。それが富裕層のステータスシンボルとなり装飾を競い合うようになったとか。

「世界一美しい時祷書」を作らせたベリー公ジャンは、フランスの大貴族で国王とも近しい人物です。彼は美術品の蒐集や芸術家のパトロンとして名を馳せたため、その所領はフランス国内で最も重い税負担を課される地域になったそうです。描かれた絵は、現実とはほど遠い理想像だったのでしょうね。

ところで、この時祷書が作られた中世ヨーロッパは、前述したようにペスト(致死率も伝染率もCOVID-19とは比べ物にならない伝染病)によるパンデミックが起こり、社会構造の変化をもたらしています。
現在のCOVID-19の大流行も、私達の生活様式に変化を強いていますよね。
そんな状況の中で「かつての暮しを取り戻す」「早く以前の生活に戻りたい」という人もいますが、それはもはや難しいのではないでしょうか。

悲観してばかりで後ろ向きな感情に流されないためにも、パラリンピックの父といわれるルードヴィヒ・グッドマン博士の言葉を紹介したいと思います。

「失ったものを数えるな 残されたものを最大限に生かせ」
…われわれにも非常に重く響くのではないでしょうか。

取り留めのない文章で失礼しました。

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