
当社のサステナビリティ戦略支援チームが、感謝の言葉を伝えるトレーニングカード「伝トレカード(Good Job Card)」から着想を得て制作したカードゲーム『ありがとうできるかな?』は、「ありがとう」を軸に、子どもたちが将来コミュニケーションに困らない力を育てたい、という思いから誕生しました。
本記事では、カードゲーム開発の背景から商品設計、販売展開までのプロセスをご紹介します。
私たち木元省美堂は創業70年以上の印刷会社です。しかし、昨今のデジタル化の波によって印刷業界は大きな課題を抱えており、私たちは10年、20年先も輝ける会社になるために、2021年に新しいビジョンを掲げました。
その中の活動のひとつに「サステナビリティ戦略支援」という、企業の社会貢献に関わる取り組みを支援する事業があり、カードゲームを開発したチームはその事業を推進するメンバーとして、新たなサービス・商品の創出に取り組むことになりました。
私たちは長年、教科書や参考書など、学校教材の制作・製造に携わってきました。
また、2016年には社内のコミュニケーション活性化施策として、感謝の言葉を伝えるトレーニングカード「伝トレカード(Good Job Card)」を導入。「感謝を伝えること」がコミュニケーション活性化の大きな一歩になることを実感し、2018年から自社商品として社外への販売を開始。現在までに約6万6000枚を企業や団体にお届けしてきました。
そんな中、「サステナビリティ」について考える機会を得た私たちは、社会課題や市場環境を調べる過程で、教育現場では語彙力や自己表現力の格差が、将来の自己肯定感や人間関係にまで影響を及ぼすことが指摘されていることを知り、これまでの学校教材に関わった経験と、伝トレカードの運用・販売経験を生かして、社会に貢献できる新たな取り組みができないかと模索を始めます。

家庭や友人など環境の格差によって、コミュニケーション能力の育まれ方は環境によって大きく異なります。特に幼少期の環境要因によっては、コミュニケーションが苦手な大人になってしまう可能性が隠れているといっても過言ではありません。
コミュニケーションが苦手な大人になってしまうと、社会に馴染めず苦しむことも多く、社会性が育まれない、仕事が続かない、などに繋がり、ひいては貧困を招いてしまうケースも考えられます。
この課題は、SDGsの目標「1 貧困をなくそう」「4 質の高い教育をみんなに」とも深く関わっています。
つまり、子どもの頃から「ありがとう」といった肯定的な言葉を自然に伝えられる力を育むことは、持続可能な社会の土台づくりにも繋がる、私たちはそう考えました。
大げさに聞こえるかもしれませんが、これはまさに、私たちが関わってきた「学校教材」と「伝トレカード」、そして「社会課題(SDGs)」という3つの領域が交差した瞬間です。
子どもたちが「ありがとう」と伝える経験を日常的に積み重ねることで、将来コミュニケーションに困らない力を育てたい。そんな思いが、このカードゲーム開発の原動力になっています。
「ありがとう」は、小さい頃は素直に言えても、成長するにつれて、照れやプライド、関係性の複雑さから言いにくくなってしまう言葉でもあります。だからこそ、幼少期から日常的に「ありがとう」を口に出す経験を積み重ねておくことが大切だと、私たちは考えました。
私たちが開発したカードゲームは、遊びの中で「ありがとう」を声に出し、耳で聞く体験をくり返すことで、「ありがとうを伝える力」を自然と育むことができます。
誰でも気軽に、楽しく「ありがとう」を練習できるツールをつくりたい。
「ありがとう」と言うことがあたりまえの環境になってほしい。
そんな想いを込めて、私たちは『ありがとうできるかな?』を開発しました。
このゲームがきっかけとなり、子どもたちがこれから出会う多くの人と、あたたかな関係を築いていけるよう願っています。
ゲーム開発においては、ルール設計、カード内容、イラスト表現、パッケージデザインまで、チームのメンバーで検討を重ねました。
特に重視したのは、どうしたら「ありがとう」を繰り返し言えるようなゲームになるかということ。様々なゲームを考えた上で、現在の形に辿り着きました。
また、主なターゲットである年齢層を踏まえ、教育現場での活用も想定して、学習指導要領や現行の教科書等も参考にしました。そして、デザイン表現の部分でも、小学校低学年でも見分けやすい線と色がはっきりしたイラストにしたり、全ての漢字にふりがなを付けたり、ことばカードにもイラストを入れたりと、様々な工夫を施しました。
試作品を作るたびにメンバーで試遊を重ね、「ここは要らないかもしれない」「この部分は意外と盛り上がる」などの気付きを得ながらブラッシュアップしていき、商品として完成させました。



完成した商品は、まずクラウドファンディングサービス「Makuake」にて先行販売を実施しました。
教育現場にいる方や、お子様がいらっしゃる方、プレゼント用にする方など様々な方に応援購入をしていただき、目標金額の120%を達成。当初の目標を上回る形でプロジェクトを成功させることができました。心より感謝申し上げます。
その後は、自社のオンラインショップで一般販売を開始。さらに、文京博覧会2025では、実際に商品を手に取っていただける機会を得ることができました。会期中は、試遊していただいたり、開発の経緯を直接お話させていただくことで、より深く商品について知っていただくことができたと感じています。

私たち株式会社木元省美堂は、創業時から書籍・雑誌・学校参考書などの出版物のデザイン・制作・製造を事業の根幹として展開してきた印刷会社ですが、時代の変化とともに在り方を見つめ、現在では印刷物だけでなく、WEBサイトや販促に関わる情報ツール、ノベルティ・グッズなど「伝える」をかたちにする幅広いものづくりへと領域を広げています。
そんな私たちが今回取り組んだのが、子どもたちの「ありがとうを伝える力」を育むカードゲームの開発でした。
「ありがとう」から社会が少しずつ変わる。私たちはそう信じています。このカードゲームが一人でも多くの方に届き、あたたかい循環が生まれることを願っています。
そして、今回の取り組みで培った、コンセプト設計、ゲームデザイン、ビジュアル制作、製造までを一貫して行う体制は、法人向けのオリジナルカードゲームやコミュニケーションツール制作にも応用可能です。企業理念の浸透、研修ツール、教育支援教材など、「伝えたい想い」を体験型コンテンツへと昇華させる企画をご提案します。オリジナルカードゲームや体験型ツールの企画・制作についても、ぜひお気軽にご相談ください。
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