当社で導入しているオフセット印刷機の印刷の仕組みや印刷工程について解説します。
枚葉印刷機とは、規格サイズなどに断裁された用紙を一枚ずつ印刷する印刷機で、当社で導入している機械も枚葉印刷機になります。
印刷機本体はフィーダ部(給紙部)、印刷部、デリバリ部(排紙部)で構成されています。
※上記のイラストでは、一部、構造を簡略化しています。
「印刷機の印刷方式」ページの平版印刷の説明にもあるようにオフセット印刷は、平版印刷の一種です。
版に付いたインキを一度ブランケットに転写(off)し、そのインキを用紙に転写(set)することからオフセット印刷と名付けられました。
オフセット印刷では、版からブランケット、そして用紙へとインキを転写していきますが、その際、圧力で網点が延ばされたり、印刷後に用紙にインキがにじんだりすることによって、網点が大きくなってしまう現象が発生します。これを「ドットゲイン」といいます。
網点の大小によって色の濃淡を表現する平版印刷などでは、ドットゲインの度合によって色味が大きく変化してしまうため、印刷機や用紙の特性を考慮して、あらかじめドットゲインを計算に入れた網点で版を作るなどの対応がされています。
印刷機を使用しての印刷の流れを簡単に説明します。
直前に印刷されていたものの印刷条件をリセットします。インキの付いたブランケットの洗浄も行います。
各色の版のセット、用紙のセットなどを行います。
見当合わせ(印刷の位置合わせ)、インキ量の調整などを行います。
試し刷りを何回か行いながら、色・見当・ごみ取り・湿し水などの調整を行います。
刷り出しで問題がなければ、印刷を開始します。
印刷が終わったら、印刷機から用紙を移動させ、インキが乾くまで乾燥させます。
両面を印刷する場合は、乾燥後裏面の印刷を行います。
平版印刷の版は、水と油の反発で画線部と非画線部を区別しています。この水は、水道水にエッチ液・IPA(イソプロピルアルコール)を加えたもので「湿し水」と呼ばれます。
※現在では、IPAを使用しないノンアルコールタイプの湿し水が開発され、多くの印刷会社で導入されており、当社でも湿し水を必要とする印刷機では、ノンアルコールタイプの湿し水を導入しております。
湿し水の大きな役割は、非画線部に吸着しインキを付かないようにすることですが、その他にもいろいろな役割があり、エッチ液やIPAがそれを担っています。
エッチ液に求められるものは、親水性・保水性・修復力です。
親水性とは、水に濡れやすいことをいいます。親水性が高いと水の表面張力を下げることができるので、細かい非画線部にも水がしっかり浸透します。
保水性は水を保つ能力です。インキが着く前に湿し水が蒸発してしまっては意味がありませんので、しばらくの間版面上で水を保つ性質が要求されます。
修復力は版を修復する能力です。版面は絶えず、ローラーやブランケットの摩擦を受けており、更に紙粉やコート剤などで非画線部の親水性層が傷つくことがあります。それを修復しながら印刷しないと汚れなどの原因になります。また、インキが乳化したり、散ったりと非画線部に汚れが付着することがあり、汚れ出した版を洗浄しながら印刷しなければなりません。
IPAは、エッチ液のみの湿し水よりもさらに親水性を高めます。そのため、湿し水の被膜がさらに薄く均一となり、使用する湿し水の量を減少させることができます。
また、IPAは湿し水のph値に、ほとんど影響を与えません。ph値とは水に含まれる水素イオンの濃度を表すもので、高すぎても低すぎても印刷時に影響を与えてしまいます。
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