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なぜ多くの中小企業がWebサイト・ホームページを活用できないのか?

なぜ多くの中小企業がWebサイト・ホームページを活用できないのか?

2022年06月30日

執筆者 : 伝つくラボ研究員

企業活動の必須ツールとなっているWebサイト・ホームページですが、まだまだ活用できていない中小企業が多く存在します。
その理由は企業共通の課題や中小企業ならではの課題が影響しているためですが、「本当に成果が出るの?」と考えてしまう心理的な影響も大きいと考えます。
本記事では中小企業がWebサイト・ホームページを活用できない理由を解説します。

中小企業のWebサイト・ホームページの状況

中小企業庁が発行する『2019年版中小企業白書』の〈従業員規模別に見た、ホームページの開設状況の推移〉によると、2017年の中小企業(従業員数100人〜299人)のWebサイト・ホームページ(以下、Webサイト)の開設状況は87.2%にも上ります。※1
つまり、ほとんどの中小企業がWebサイトを所持していることになります。

中小企業のホームぺージ開設状況の推移(2010年 / 2017年)

中小企業のホームぺージ開設状況の推移
※グラフは、〈従業員規模別に見た、ホームページの開設状況の推移〉の中小企業(100~299人)のデータを抽出

しかし、Webサイトを所持していることと活用できているかは別の問題です。
調べ物をするためにネット検索をして上位に出てくるサイトは、少なからずWebサイトを活用できていると言えるでしょう。

一方、上記のようなネット検索では出てこない企業(問い合わせをしてきた企業、電話等で売り込みをしてきた企業、紹介されて知った企業など)の中には、「内容が薄い」「デザインが古い」「全く更新されていない」といった状況のサイトを見かけることも多くあります。

このような企業がWebサイトを活用できない理由をデータを利用して掘り下げてみます。

活用できることを知らない・気付いていない

活用できない1つ目の理由は、「活用できることを知らない・気付いていない」ためです。

Webサイトの所持率からもわかる通り、Webサイトを作ることは浸透しています。
しかし、「他社も所持しているから」「Webサイトを作った方が良いと言われた」「名刺代わりに」といった理由でサイトを作った場合は、所持することが目的となってしまい、Webサイトは活用するものであると知らない・気付いていない状態になってしまいます。
これでは作って終わりで放置してしまっても仕方ありません。

中小企業庁が発行する『2021年版中小企業白書』の〈感染症流行前後のITツール・システムを活用した販売促進活動(取引先属性別)〉の調査では、コロナ感染症の流行前も後も多くの企業が販売促進活動に「自社HPの活用」を挙げていますが、「特になし」と回答した企業も約25%ほどあります。※2
この層はそもそもWebサイト等のデジタル媒体・ツールを「活用する気がない」か「活用できることを知らない、気付いていない」かであると推察します。

感染症流行前後のITツール・システムを活用した販売促進活動(取引先属性別)

〈感染症流行前後のITツール・システムを活用した販売促進活動(取引先属性別)〉

Web活用という新たな取り組みへの抵抗感が強い

活用できない2つ目の理由は、「Web活用という新たな取り組みへの抵抗感が強い」ためです。

ビジネスにおける課題として「変化への適応力」という話がよく出ます。
現代社会は変化のスピードが早く、そのスピードに合わせて適応していかないと取り残されてしまうという趣旨の話ですが、そもそも人は変化に適応することが苦手です。
『2021年版中小企業白書』の以下の調査結果からもその傾向が読み取れます。

〈デジタル化に対する社内の意識〉の調査では、社内のデジタル化への抵抗感が強いと回答した企業が47.5%と約半数存在します。※3

また、〈デジタル化推進に向けた課題(従業員規模別)〉の調査では、「アナログな文化・価値観が定着している」を課題とした企業が44.6%(中小企業平均値)と非常に多く、変化に対する抵抗感があることがわかります。※4

Webサイトを活用できない企業も、既存のやり方を変える事への抵抗感が働き、Webサイトを活用するという新たな取り組みに挑戦できないでいると考えられます。

デジタル化に対する社内の意識

〈デジタル化に対する社内の意識〉

デジタル化推進に向けた課題(従業員規模0~300人)

〈デジタル化推進に向けた課題〉
※グラフの値は、従業員規模0〜300人の平均値

Webサイト活用に割くリソースがない

活用できない3つ目の理由は、「Webサイト活用に割くリソース(予算、人材、時間)がない」ためです。

『2021年版中小企業白書』の〈デジタル化推進に向けた課題(従業員規模別)〉の調査では、中小企業ほど「資金不足」を課題としています(中小企業平均:22.4%)。
また、「組織のITリテラシーが不足している」という回答も多く(中小企業平均:37.3%)、デジタル化を推進できる人材の不足も課題となっています。※4

中小企業は大企業と比べて圧倒的にリソース不足であり、Webサイトの活用においてもリソース不足が活用できない状況を生み出しているといえます。

デジタル化推進に向けた課題(従業員規模0~300人)

〈デジタル化推進に向けた課題〉
※グラフの値は、従業員規模0〜300人の平均値

どのようにWebサイトを活用すればよいのかわからない

活用できない4つ目の理由は、「どのようにWebサイトを活用すればよいのかわからない」ためです。

『2021年版中小企業白書』の〈デジタル化の取組において最も重視する項目(従業員規模別)〉の調査では、「経営判断や業務プロセスの効率化・固定費の削減」と回答した中小企業が46.2%(中小企業平均値)もあり、企業がデジタル化によって効率化やコスト削減を図りたいと考えていることがわかります。

また、「新たな事業や製品、サービスの創出と改善」と回答した中小企業も38.6%(中小企業平均値)と多く、デジタル化によって「新しい事業・サービスの創出」、「商品・サービスの質向上」、「新規顧客の開拓」、「既存顧客との関係強化」を図りたいと考えており、デジタル化によるビジネスへの直接的な好影響を期待していることがわかります。※5

デジタル化の取組において最も重視する項目(従業員規模別)

〈デジタル化の取組において最も重視する項目(従業員規模別)〉

一方で、〈デジタル化の方針を含んだ事業方針の立案(従業員規模別)〉を見ると、「事業方針の中に、デジタル化の方針・目標が含まれていない」と回答する中小企業が58.9%(中小企業平均値)と半数を超えています。※6
業績向上策としてデジタル化に期待しているのに、方針に含まれていないという状態は、具体的な方法がわかっていないからといえます。

デジタル化の方針を含んだ事業方針の立案(従業員規模別)

〈デジタル化の方針を含んだ事業方針の立案(従業員規模別)〉

このような状態になっている理由として、中小企業ほどデジタル化の目的・目標が定まっていないことが挙げられます。
〈デジタル化推進に向けた課題(従業員規模別)〉の調査結果では、「明確な目的・目標が定まっていない」と回答した中小企業が40.5%(中小企業平均値)もあります。※4
Webサイトの活用においても「何のために」という目的が定まっていなければ、具体的な活用方法を見出すことはできません。

デジタル化推進に向けた課題(従業員規模0~300人)

〈デジタル化推進に向けた課題(従業員規模別)〉

活用できるWebサイトを作れていない

活用できない5つ目の理由は、「活用できるWebサイトを作れていない」ためです。

Webサイトを作る段階で目的・目標が定まっていなかった場合、活用戦略のないWebサイトができあがっています。
この状態から後出しで目的・目標を定めて活用しようとしても、活用できる状態ではないため、施策を実行することができません。
それでも活用しようとするならば、Webサイトの作り直しを考慮する必要があります。

一方、公開後に活用でき成果を出すWebサイトは、きちんとした戦略や運用方針、サイト担当者が更新できる仕組みなどが備わっています。

活用できないサイトが生まれる理由は、目的・目標が定まっていないことがほとんどですが、定まっていても生まれてしまう場合があります。
それは、Webサイトの制作にきちんとお金をかけられていない場合です。
『2021年版中小企業白書』の〈デジタル化推進に向けた課題(デジタル化推進による効果別)〉の調査でも、デジタル化推進で効果を得られなかった企業ほど「資金不足」を課題としてあげています。※7

きちんと活用できるWebサイトに必要な機能を備えるためには費用がかかります。
安価でWebサイトを作れば、安物買いの銭失いになってしまう可能性が高いのです。

デジタル化推進に向けた課題(デジタル化推進による効果別)

〈デジタル化推進に向けた課題(デジタル化推進による効果別)〉

「どんな良い結果を得られるか」が想像できないから

活用できない理由の最後は、「Webサイトを活用すると「どんな良い結果を得られるか」が想像できないから」です。
社内に積極的な文化があり、リソースも十分に備わっている企業であったとしても、「どんな良い結果が得られるか」が想像できなければ、取り組みたいという気持ちにはなりません。

そのため、良い結果を想像するための情報収集を行いますが、情報が不足していると想像ができず「本当に成果が出るの?」「取り組む必要があるのか?」という気持ちが強くなってしまいます。
また、良い結果が得られるという事例があっても、自社と属性が異なりすぎる場合は、「この企業だからでしょ?」と思い、自社の未来と照らし合わせることができません。

Webサイトの活用も、活用することで明るい未来が待っていると想像できなければ、誰も取り組みたいと思わないでしょう。

まとめ

リソースが足りないという中小企業ならではの課題から、大企業にも当てはまる人の心理による影響など、デジタル化への課題は様々で、Webサイトを活用できない理由にも当てはまります。

一方、このような課題を抱えている企業が、課題を解決しようと積極的に取り組んでいるかというと微妙と言わざるをえません。
「どのようにWebサイトを活用すればよいのかわからない」でも取り上げましたが、多くの中小企業がデジタル化によって効率化やコスト削減を図りたいと考えています。

つまりリソースを生み出すためにデジタル化が役に立つと考えているわけです。
しかし、そのデジタル化にリソースを割けないという矛盾した状況が生まれています。
当然「新たな取り組みへの抵抗感が強い」という心理面の課題も影響していることでしょう。

このような状態を改善するには、経営者が積極的に関与し、積極性のある社員を見つけ、小さなチームを組み、予算が少なくてもできるところから小さな成功を積み重ねることで、デジタル化が生み出すポジティブな効果を組織全体に示し、組織内に挑戦する土壌や文化を作る必要があるでしょう。

Webサイトの活用は、手段や方法論も多くネット検索や書籍からも情報は得られます。また、無料の集計・解析ツールもあり、数字で結果を見せることも容易です。
デジタル化の足がかりとして、とにかくやってみるの精神でWebサイトの活用にチャレンジしてはいかがでしょうか。

参考資料

※1:中小企業庁『2019年版中小企業白書』 第3部-4章-1節-2 デジタル化 第3-1-9図〈従業員規模別に見た、ホームページの開設状況の推移〉
https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2019/2019/index.html

中小企業庁『2021年版中小企業白書』

※2:第2部-2章-2節-1.感染症流行前後のデジタル化に向けた取組の変化 第2-2-11図〈感染症流行前後のITツール・システムを活用した販売促進活動(取引先属性別)〉
https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2021/chusho/b2_2_2.html

※3:第2部-2章-4節-1.デジタル化推進に向けた意識改革 第2-2-39図〈デジタル化に対する社内の意識〉
https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2021/chusho/b2_2_4.html

※4:第2部-2章-3節 第2-2-36図〈デジタル化推進に向けた課題(従業員規模別)〉
https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2021/chusho/b2_2_3.html

※5:第2部-2章-4節-2.デジタル化に向けた方針の策定 第2-2-54図〈デジタル化の取組において最も重視する項目(従業員規模別)〉
https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2021/chusho/b2_2_4.html

※6:第2部-2章-4節-2.デジタル化に向けた方針の策定 第2-2-56図〈デジタル化の方針を含んだ事業方針の立案(従業員規模別)〉
https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2021/chusho/b2_2_4.html

※7:第2部-2章-3節 第2-2-37図〈デジタル化推進に向けた課題(デジタル化推進による効果別)〉
https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2021/chusho/b2_2_3.html

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