伝つくラボ

2017年09月20日

イメージ通りの印刷物をつくるために、印刷物の担当初心者が知っておくべき「色校正」について

印刷物を使用してユーザーに正しく情報を伝えるためには、様々な要素が必要になります。
デザインであったり、誤字脱字のない情報の正確さであったり、刺さるコピーであったりと本当に様々な要素が関係してきますが、その一つが「色」です。

この「色」と印刷物の関係は非常に密接で、色の再現性をどう高めるかが印刷会社の永遠のテーマといっても過言ではありません。
例えば、印刷物に料理の写真が掲載されているとします。
キャッチコピーや文章、有識者の絶賛コメントなどでその料理をどれだけ賞賛しても、色が汚い写真では不味そうな料理に見えてしまいます。
他にも、カタログに掲載した洋服の写真の色が実物と異なっていて返品が発生してしまったといった話はよく聞きますよね(今は印刷物よりWebの方が多い事例だと思いますが…)。

このような「色」による問題を起こさないために、印刷物の色を確認・調整する「色校正」という工程があります。
色校正を行うことでイメージ通りの印刷物に仕上げることが可能になりますが、そのためには色校正を正しく行う必要があり、印刷物の担当初心者は特に知っておくべきでしょう。

そこで、本記事ではイメージ通りの印刷物をつくるために、印刷物の担当初心者が知っておくべき「色校正」についてご紹介します。

色校正とは?

色校正は、イメージ通りの印刷物に仕上げるために印刷物の色みを確認・調整する作業です。
様々な方式はありますが、プリンターや印刷機で実際のページを印刷して色のシミュレーションを行い、表現したい色のイメージに調整していきます。

色校正は基本的に、印刷物の製造に入る前に行われる作業で、色校正で作成されたもの(色校用の校正紙)が製造時の見本となります。
一般的なものづくりでいう、量産化前のプロトタイプというとわかりやすいかもしれません(色校正は色に特化しています)。

色校正の流れ

色校正の流れ

印刷会社では印刷物がカラー印刷の場合、必ず色校正を行います。
その理由は2つあります。

刷り直しを防ぐ

1つ目は色の違いによる刷り直しを防ぐためです。
印刷物の製造時には必ず見本となる原稿が必要で、その原稿を色見本として、印刷機のオペレーターが印刷物の色を合わせていきます。
そのため、色校正でお客様と色の確認ができていないと、お客様が求めている印刷物が作れず、最悪刷り直しになってしまいます。
そうなるとお客様にとっては納期の問題が出てきますし、印刷会社としても損害を被る事になってしまうので色校正を必ず行う必要があるのです。

色の認識を把握する

2つ目は色の認識を把握するためです。
みなさんは「青色」と言われたら、どのような青色が頭に浮かびますか?
シアンのような水色に近い明るい青色を想像する方がいれば、ブルー系の深い青色を想像する方もいると思います。
このように、個人の色の認識は様々で、「青色」と言われたからといって全ての人が同じ青色を想像するとは限らないのです。

色の認識を把握していないと、どのような事が起こるのでしょうか。
例えば、「空の写真の青を強調して欲しい」と指示があったとします。
お客さんはもっと明るい青色にしたいと考え指示を出したつもりが、業者側の認識の違いで深い青色の空になってしまったということが起こります。
このような色の認識の違いによるトラブルをなくすために、色校正を通してお客様の色の認識を把握する必要があるのです。

色校正の注意点

上記では色校正の基礎的な事柄について解説しました。
ここからは、色校正に関する注意点に関して解説します。

まず、印刷と色校正の前提に関して知ってもらいたいと思います。
誤解を恐れずはっきり言いますが、印刷ではイメージと全く同じ色を再現することはできません。この色に合わせて欲しいと手元の本やモニターの色を提示されてもインキの違いや紙の種類によって表現に限界があり、同じ色に再現することは不可能といえます。
印刷の色合せとは、全く同じ色は作れないが、見本の色に限りなく近づけていく行為です。
この色合わせの見本を作るのが色校正ですので、最終的に印刷物を量産する印刷機が表現できる範囲を超えた見本を作成することはNGとなります。

上記の前提を理解していただくと印刷物の色は最終的に印刷物を量産する印刷機に依存することがわかると思います。
もちろん紙やインキも関係してくるため、イメージに一番近づく色校正の方法は、量産時に使用する印刷機と紙とインキで行う方法(本機校正といいます)となります。
しかし、コストやスケジュールの関係で必ずしもこの方法で色校正ができない場合もあります。

そのため、色校正には様々な方式が存在します。
そして、どの方式でも印刷機との色の差異を軽減できるように(方式ごとに色合わせの程度の差はありますが)印刷会社ではシステムが組まれ、各設備を運用しています。
そうなると、印刷会社のシステムから著しく外れる要求は、最終的な印刷物の色合わせに影響を与えてしまいますので注意しましょう。
色合わせに影響を与える事柄について知りたい方は、「要注意!印刷物の色合わせに失敗する4つの行動と解決法」で詳しく述べているので参考にしてください。

色校正の種類

上記で色校正には様々な方式があると述べましたので、詳しく解説したいと思います。

本機校正

本機校正とは、量産時に使用する印刷機、用紙(本紙といいます)、インキ(もちろん特色インキも使用可能)で行う色校正です。
最終的な印刷物の製造方法と全く同じ状態で作るため、一番再現性が高い方式であるといえます。
ただし、量産機である印刷機を使用するため、「版」が必要、用紙の枚数が多い(1色につき100枚程度)など、コストが一番かかる方式でもあります。
コストが掛かっても最終的な印刷物と同等の品質で色の確認や作りこみをしたい方にお勧めする方式です。

平台校正

平台校正とは、色校正に特化した平台校正機を使用して行う色校正です。
本機校正のように、本紙を使用できることや、特色インキが使用できるため、紙の質感やデザインイメージ、色再現の方向性をある程度確認したい場合に有効です。
また、用紙の使用枚数を抑えられる(色出しまでに10〜20枚程度)ため、本機校正よりも用紙の部分でコストを抑えられることもメリットです(「版」は本機校正と同様に必要になります)。
ただし、平台校正はインキの違い、オフセット印刷機との構造の違い、季節・気温・湿度など変動要素が大きく影響しやすいなど、印刷機よりも色再現のブレが大きく安定しません。

インクジェットデジタル印刷機校正

インクジェットデジタル印刷機校正とは、インクジェット方式の印刷機を使用して行う色校正です。
インクジェット方式ではありますが、CMYKのプロセス4色であれば印刷機の様な色再現が可能(あくまでも疑似再現)で、色のブレが少ないことも強みです。
また、インクジェットプリンターと違い、本紙も使用できます。
しかし、特色に関しては、疑似再現させることが難しいのが現状です(色によります)。
コストに関しては、運用している会社毎で異なりますが、本機校正や平台校正で使用する「版」がいりませんし、色出しまでに使用する用紙が5枚前後で済むため、コストをかなり抑えることができます。

インクジェットプリンター校正

インクジェットプリンター校正とは、大判インクジェットプリンターを使用して行う色校正です。
プリンターには、網点を表現できるソフトウェアを搭載しているため、家庭用のプリンターと違い、印刷物に近い表現が可能です。
また、データから直接出力できること(「版」を使用しない)やスピードの速さ、低コストといったメリットがあります。
しかし、専用紙や専用インクを使用するため、用紙の質感や色の再現性は劣ります。

色校正の種類のまとめ

上記で解説したように色校正には様々な方式がありますので、作成する印刷物の条件にあった方法を選択しましょう。
わからない場合は、印刷会社の担当者に相談することをお勧めします。

名称 機械 用紙 色の再現性 コスト
本機校正 印刷機 本紙
平台校正 平台校正機 本紙 やや高 やや高
インクジェットデジタル印刷機校正 インクジェット印刷機 本紙 やや高
インクジェットプリンター校正 大判インクジェットプリンター 専用紙

まとめ

本記事では、印刷物において重要な要素である色を量産前に確認・調整する作業である「色校正」について解説してきました。
色の認識の仕方は人によって異なるため、色校正を行うことで、作成している印刷物の関係者間で統一した認識を持つことができます。

印刷物の担当初心者では、慣れていない分、イメージしている色をどのように伝えたら良いかなど難しい面はあると思います。
だからこそ、本記事で解説した内容を少しでも頭に入れ、業者と協力する必要があるでしょう。うまく協力できれば、イメージ通りの色で表現された印刷物を作成することができるはずです。

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