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会社案内の写真をぼやけさせないために、あなたが知っておくべき画像データの知識

会社案内の写真をぼやけさせないために、あなたが知っておくべき画像データの知識

2017年09月01日

執筆者 : 伝つくラボ研究員

会社案内やチラシ、カタログなどの印刷物を見た時に「写真がぼやけているなあ?」と感じたり、資料を作成した際にWebから持ってきた写真がぼやけてしまったりといったことを経験したことはありませんか?
この「写真がぼやける」という現象は、印刷物に適した画像データを使用しなかったために引き起こされます。

このような写真が掲載されている印刷物は、読者から「この写真じゃ商品がよくわからないなあ」、「手抜きな資料だなあ」と思われても仕方ありません。
そこで、本記事では、印刷物の写真が正しく表示されるために必要な印刷物に適した画像データについて解説します。

「写真がぼやける」の原因は画像の「解像度」

画像のデジタルデータは点の集合で表現されています。この点の集合の密度を示す数値のことを「解像度」といいます。

解像度は、1インチの長さに入るドットの数を示す「dpi(dot per inchの略)」という単位で表します。
dpi(解像度)の数値が高くなるほど点の密度が高くなり、写真の細かい部分まで表現することができます。

つまり、「写真がぼやける」という現象は、この解像度の数値が印刷物に適した数値よりも低い時に発生するのです。

画像のデジタルデータは点の集合で表現されている

画像を拡大表示すると点の集合で表現されていることがわかります(左写真)
この点の数が多い程、解像度が高く細かい表現が可能になります(中央図・右図)

印刷物に適した解像度は?

解像度の低さが原因で「写真がぼやける」という現象が発生してしまうことをご理解いただけたと思いますので、次に印刷物に適した解像度について解説したいと思います。

まず、印刷物に適した解像度を知るためには「印刷」について知る必要があります。
画像の解像度のように、印刷にも「スクリーン線数」という印刷の精細さを示す数値があります。
スクリーン線数は、1インチあたりにある網点の数を示す「lpi(line per inchの略)」または「線」という単位で表されます。
(網点について知りたい方は、当社が作成した「印刷物の構造」ページをご覧ください。

このスクリーン線数と画像解像度の関係を理解し、正しい解像度の画像を使用することで「写真がぼやけない」印刷物を作ることができます。
一般的に印刷に適した画像解像度はスクリーン線数の2倍であるといわれています。
そして、会社案内やパンフレットなどの一般的な印刷物は「175線」で印刷されることが多いです。
そのため、印刷物に適した画像の解像度は350dpi程度といえます(一般的にも300〜350dpiが適正値であるといわれています)。

Webから写真を持ってきて作成した資料を印刷すると写真がぼやけてしまうことがあると思います。
Webでは一般的に72dpi程度の解像度の写真を使用します。そのため、モニター上では気にならなくても、低解像度の写真であるために印刷するとぼやけてしまうのです。

実際に印刷したもので比較

では、実際に印刷したもので比較してみましょう。
下の写真は、印刷物に適した解像度の写真(写真左)と低解像度の写真(写真右)を当社のオンデマンドプリンターで印刷したものです(差がわかりやすいように低解像度の写真は原寸を印刷物に適した解像度の写真の半分にし、拡大してサイズを合わせています)。
少し距離がありますが右の写真がぼやけていることがわかると思います。

低解像度の写真と適正な解像度の写真を並べて印刷したもの

少し拡大して見てみましょう。
このように近い距離で見ると、ぼやけていることが一目瞭然です(下記画像)

低解像度の写真と適正な解像度の写真を並べて印刷したもの(拡大版)

さらに拡大して左右の写真の違いを見てみましょう。
印刷物に適した解像度の写真は、ここまで近づいてもはっきりしていてどんなものが写っているかわかると思います(下記画像)

適正な解像度の写真の詳細

反対に低解像度の写真は、ここまで近づいてもぼやけているために何が写っているかよくわかりません(下記画像)

低解像度の写真の詳細

例で示した写真から、印刷物に適した解像度の写真と低解像度の写真の違いをご理解いただけると思います。
例ではピザの写真を使用しました。この低解像度の写真がお店のメニューに掲載されていて詳細が書かれていなかったら、どんな具材を使用したものかわからないですよね(お店の方に聞いてしまえばいいんですけどね...)。

撮影時やデータの取扱いで気をつけること

上記の解説から解像度の低さが原因で印刷時の写真がぼやけてしまうことをご理解いただけたと思います。
ここからは、写真のぼやけを回避するために撮影時やデータの取扱いで気をつける点についてご紹介します。

撮影時の写真のサイズと画質

写真のサイズは、ぼやけさせないための重要なポイントです。
撮影サイズを選ぶ時は、印刷物に掲載したい写真のサイズに合わせることが必要です。例えば、はがきサイズで掲載したい場合は、はがきサイズに合った撮影サイズを選びます。
つまり、掲載サイズが小さければ撮影サイズも小さく、掲載サイズが大きければ撮影サイズも大きくなります。
もし、掲載サイズを後から考える場合は、すべての写真を大きい撮影サイズで撮っておくと良いでしょう。ただし、サイズが大きい分、データ容量も大きくなることに注意してください。

Adobe Photoshopなどの画像編集ソフトがあれば、解像度の確認が容易ですが、持っていない方もいると思いますので、目安ではありますが下記に掲載サイズとそれに必要な写真のサイズを掲載しておきます(下表は解像度350dpiで算出しています)。

※L判は日本の標準的な写真用紙のサイズです。
掲載サイズ名称 寸法(単位:mm) 写真のサイズ(単位:px)
名刺 55×91 758×1254
L判 89×127 1226×1750
はがき 100×148 1378×2039
B5 182×257 2508×3541
A4 210×297 2894×4093
A3 297×420 4093×5787

撮影時の画質に関しては特に指定はありませんが、細部まできれいな写真を掲載したい方は「ファイン」などの高画質モードを設定すると良いでしょう。

写真の保存形式と入稿時の注意点

撮影時の保存形式も悩む点だと思います。
主な保存形式は以下になります。

形式 データ容量 特徴
JPEG データ容量が小さい。
圧縮保存されているので画像の劣化がある(保存するごとに劣化していく)。
TIFF 非圧縮保存なので高画質で画像の劣化がない。
非圧縮な分、データ容量は大きい。
RAW デジタルカメラ上で画像処理がされていない未加工のデータ。
専用のソフトを使用することで明るさなどを撮影後に編集できる。
データ容量は中程度。

保存形式に関しては、これが最適というものはありませんが、JPEGの写真がイマイチであった場合に画像編集ソフトで修正して再保存すると画像が劣化してしまいます。
そのため、劣化なしに編集できるRAWデータがあると便利です。
結論としては、撮影時(デジタルカメラの設定)はRAW+JPEGで保存しておくと融通が利くといえます。

画像データを印刷会社などの業者に入稿する時は、できるだけ撮影時のままのデータを渡すことをお勧めします(自分でチラシなどを作成して写真を使用している場合は別です)。また、WordやExcelに貼付けて入稿される方もいらっしゃいますが、画像の劣化の原因になるので控えましょう。

まとめ

本記事では、印刷物上の写真がぼやけないために、知っておくべき画像データの知識について解説しました。
記事の内容を頭に入れておけば、写真のサイズや解像度に関して混乱することなく業者ともやり取りができますし、自分で資料を作成するときにも役に立つと思います。

ただ、どうしてもわからないという場合は印刷のプロにお願いしましょう。
撮影データを渡して確認してもらえれば、適したデータかどうか教えてくれます。その後、自分で撮り直しても良いですし、プロカメラマンにお願いしても良いでしょう。
写真の色や明るさの調整についても、印刷のプロであれば印刷物上で綺麗に表現されるように加工してくれます。

デジタルデータの写真を印刷物上で問題なく表現することは、高度な知識や技術が必要で印刷会社でも苦労している点ではあります。ただ、本記事の内容を頭に入れて作成した印刷物であれば、ユーザーが混乱することや手抜きなどのネガティブイメージを防ぐことができるので、ぜひ活用していただきたいです。

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